集合住宅の資産価値高める創エネ・省エネとは? 多摩市で事例報告とワークショップ| 多摩ニュータウン.com

集合住宅の資産価値高める創エネ・省エネとは? 多摩市で事例報告とワークショップ

一般社団法人多摩循環型エネルギー協会(多摩エネ協)と多摩電力合同会社は3月15日午後、多摩永山情報教育センターでトークセッション「団地再生de省エネ・創エネ・循環型社会へ!!」を開催した。前半は、安心快適に長く住み続けるための団地再生事業や、太陽光発電設備などで資産価値を高める集合住宅の事例などを5人の登壇者が報告。後半のワークショップでは、約50人の参加者が登壇者とともに4つテーブルを囲み、テーマ別に質疑応答や意見交換を行った。

最初に登壇したダイアパレス・ライブシティ船橋管理組合の石渡憲治理事長は、総戸数312戸の同マンションで、合意形成を経て太陽光発電システムを導入した事例を報告。蓄電池とLED照明も組み合わせ、共用部分の電気代を削減するだけでなく非常用電源も確保したことで、避難場所としての機能強化とマンションの価値向上を実現したという。ソーラーパネルを設置した株式会社SUN・ROOFテクノロジーズは、設置前に屋上防水施工も行ったが、これにはドイツで開発された「NOVOTAN」(ノボタン)という技術が採用された。石渡氏によると、「NOVOtanは30年の保証がつく。一般的な10年保証の防水より耐用年数が長いので、ゼネコンは(施工回数が減るため)採用したがらない」とのこと。

株式会社アーキモールの金丸典弘代表取締役は、建築業のかたわら、団地再生事業協同組合の代表理事も務める。地球環境保全やエネルギー確保の観点から「団地リノベーション」を考え、「豊かな都市環境と安全安心を備えた団地」「多様な世代が集うにぎわいのある団地」の実現を目指している。低層階を高齢者向け、4〜5階を若い世代向けにそれぞれリノベーションを行うことで、多世代が共に暮らせる魅力的な物件となり、投資の対象にもなるという。金丸氏は「団地の一室で『団地カフェ』を開催するなど、切り口を変えて若い人たちが入りやすくなる取り組みも行っている」と報告した。

日本大学理工学部電気工学科の教授で日本太陽エネルギー学会の理事も務める西川省吾氏は、「太陽光発電のメンテナンスの課題」について語った。西川氏はまず、太陽光発電のセル(電池)がパネルに多数配置されたものをモジュールと呼び、モジュールを多数連結してアレイを構成するという基本を説明したあと、「太陽光発電は一般にメンテナンスが不要と考えられているが、実際は必要。メガソーラーのように規模が大きくなると、住宅用と同様の保守技術では対応が困難な場合もある」と指摘した。

株式会社アール・アイ・エーの参与で、エステート鶴牧4・5住宅管理組合の大規模修繕委員会委員を務めた花牟礼幸隆氏は、団地の付加価値向上の視点で、外断熱の工事と高圧受電設備の導入を行った。外断熱改修では外壁と屋根に厚さ40ミリの断熱材を追加し、また既存のサッシの内側にサッシを追加して開口部の断熱化を図ったことで、省エネ改修の事例モデルになったという。このモデルが周辺団地、公社公団系同タイプ、分譲・賃貸住宅へと拡大していくことを望んでいると語った。

多摩電力合同会社代表の山川陽一氏は、多摩市内で市民参加による太陽光発電所をこれまで2カ所建設し、今年は多摩市の公共施設11カ所の屋根や廃校グラウンドを借りてパネルを設置する予定だと述べた。さらに団地など集合住宅の屋根に展開するにあたり、「住んでいる方々の多様なニーズに応えられるよう、屋根貸しだけでなく、蓄電池を加えたオプション、管理組合が自ら出資してより大きな収益を得るモデルなど、さまざまな選択肢を提案していきたい」と述べた。
*****
また、同じ会場で午前、多摩エネ協が環境省から受託事業である「多摩市再生可能エネルギー事業化検討協議会」の報告会も開催された。
同協議会のアドバイザーを務めてきた環境エネルギー政策研究所(ISEP)研究員の古屋将太氏は、「世界と日本のコミュニティーパワーの現状」と題して講演。「世界の自然エネルギーは予想を超えるペースで急速に普及している」と指摘し、オーストラリア・デイルスフォードの市民が協同組合を作って6年越しで完成させたヘップバーン風力発電所や、わずか2年で行政と市民の協働による再エネの推進が劇的に立ち上がった兵庫県宝塚市の事例などをを紹介した。
多摩エネ協の山川勇一郎理事は、同協議会で委員長を務める弁護士の水上貴央氏(NPO法人再エネ事業を支援する法律実務の会代表)、多摩市や識者らと協議検討を重ねた結果、今年に入って多摩市・多摩電力・多摩エネ協の3者協定を結び、11の公共施設で太陽光発電設備を設置することになったと報告。「これらをモデルに多摩市の集合住宅へ展開していきたい」と語った。

“集合住宅の資産価値高める創エネ・省エネとは? 多摩市で事例報告とワークショップ”の関連キーワード

update: 2014年3月16日